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気づけば いつかまたwienへ

レディ・ベス(博多座 2014.9.6 昼の部)

(役替わりキャスト)
レディ・ベス 花總まり
ロビン・ブレイク 山崎育三郎
メアリー・チューダー 吉沢梨絵
フェリペ 古川雄大
ロジャー・アスカム 石丸幹二

※注意※
結末について、触れている箇所があるので、未見の方はご注意ください。


点と線がつながった、と思った舞台でした。

一幕は完成している気がして、しびれました。
正直、物語に?と気になる箇所はあります。
でも、この迫力、初演が作り上げられる過程なのだなと。
足りないところは、アンサンブルの躍動感が、語り部になっています。
セント・メアリー・ル・ボウ教会の前のシーンが、何度観ても好きすぎて困ります。

山崎ロビン、変幻自在ですね。登場シーンは軽やかでキュートで声も軽い。
「俺は流れ者」でベスの頬をつついて、王女と知り反省して自分の頬をつつくのが愛嬌があって。
「人生は一度きり」鐘のシーンの迫力はもう声のクレッシェンド最高でどうしようというかんじで。
テムズ川のほとりでの、最後のロビン・三人組・群衆のコーラスと、最後のロビンの声が迫力すぎて。
ここはお芝居も細かくて、どこを見たらいいの?と毎回迷います。

ベディングフィールド卿の大谷美智浩さんの声の大きさと迫力はすごいです。圧倒されます。
一人で何人もの役割をされているようなパワーがあります。トマス・ワイアットの中山昇さんと
お二人とも演技の安定感と併せて、レディ・ベスの大きな柱のお二人です!!拍手しても
したりない位に讃えたくなります。

「あなたは一人じゃない」、はアン・ブーリンがベスを見守るという意味の曲だと思っていました。
でも、それだけではなくて。ロビン、キャット、パリ―、アスカム先生、民衆たち、みんなも含まれるのですね。

例えば、ロビン。匿われていたけどベスがガーディナーに連行されるから飛び出てきたのが兵士に押され傷つきながら足を引きづりながらベスに手を伸ばします。その姿に後ろ髪を惹かれながら、ベスは一瞬絶望して、ロンドン塔に連行されていく。

一幕ラストの、「あなたは~」→「秘めた思い」は、絶望から立ち上がる時、ロビンもロンドン塔近くまで着いてきていて。民衆、ベスを応援してる声。最後にロビンも加わって。意味深に目くばせし合うフェリペとクールなルナールが傍観して。ここ皆さんのコーラスとベスの歌声に涙腺崩壊するんです。

花總さんベス、佇まいがほんと素直に十九歳。自然で、頑なで、大らかで、表情と感情豊かです。

山崎さんのロビンの背中の演技に特に感動しました。もちろん歌もお上手なのはもちろんですが、後ろ姿が表情豊かです。流れ者でのコミカルなキュートさ、トムあたりから責任が出て、何度か目の前でベスのピンチに非力→やけ酒。でも「俺は行く」と身一つで助けに行きフェリペに道ゆく人で助言の流れが、つながっているのがお見事です

最初の流れ者の頃と、(最後の一つだけ〜のところだけ自分を見せるが)最後のベスの思いを尊重して身を引くところは、恋なんてしない、と同じことを歌っているようで全然違うのですね。成長したロビン。二人が別離を決意して離れたあと、背中を見せる山崎ロビンが、ベスを見送った跡の慟哭が、せつなすぎて。

バギー・ホラティウス・スクラッグの3人組の皆さまが、観る度に演技が深まり、ロビンとの呼吸は一心同体と言うしかないです。ロビンが連行される馬車を追いかけていって、つかまったのが納得できる絆がちゃんと見えるのです。アクロバットも沢山されているので、名古屋もどうか身体を大切に!と祈りたくなります。三人とロビンの絆をずっと見ていたい、リアルな人物像にただただ感動。

ふと思ったのですが、アスカムさんはラストシーンで、女王ベス、イモーテルを見つめるロビン、のライトアップと同じくスポットライトを浴びますが、頷くのは、どういう意味?待ちに待った世が来る?ロビンの犠牲への労い?

イモーテルをパッとベスが手から離して、下に転がった花を山崎ロビンが拾ったのです。ハプニングかもしれないけれど、その直前で、もうロビンに跪かれて悲しいのと決意とで、頭がごちゃごちゃでロビンの顔を見られなかったのではないか?という演技にも解釈できる気が。面白い。舞台は生ものですね!

禅さんガーディナーは、よりルナール大好き度が増している気が。コミカルさと追い詰め感の落差半端ないです。ミサのシーンの禅さんの声が際立っていて、すごく格好良すぎです。ルナール吉野さんも芝居が深まって、さらに冷たく熱く、小道具や衣装の魅力も際立たせて、いやあ吉野さんは凄まじく素敵ですね。

ソロでベスやアスカム先生、キャットさんが歌うが、その背後でまた各々が演技をしっかりされているので(たとえばキャットのソロで旅に出ようとするアスカム先生がカバンの紐を解く演技をされたり(残るという意味?)等)

和音さんの、「あなたは一人じゃない」は劇場を包むようです。ベスは幽霊?幻想?に敵意を向けたり見えてなかったりですが、ロンドン塔で母の真実を知った時だけ、去り際のアン・ブーリンの存在にきちんと反応している。でも女王になってからは、気づかない。いろいろ解釈出来、深いです、何回見ても。

翌朝二人でいるのが見つかるシーンの
「放せ!」→ベッドから飛び出すロビンは死を覚悟していたように見えます。
「ロビン!お願い離してあげて」→花總さんベスの叫びが悲痛。
その後の♩神様に見離され〜が本当に絶望で、「私達死ぬのね」が小さい声で囁くようで悲しみが増します。
二人のささやかな幸せと、こことトムくらいしかベスの笑顔ないですね。二人の笑顔が本当に本当に可愛くて、一番心に染みたかもしれないシーンでした。

古川さんフェリペ歌が更に深まっていますね。
赤いマントさばきも美しいし、→マタドール→スペインというモチーフ?ベスに振られるあと怒りもパワーアップして激怒というかんじでよかったです。カーテンコールで初めて照れ笑いを拝見した気が。

吉沢さんはまた芝居が変わっていて、より頑ななメアリーになっておられました。小柄でらっしゃるけれどにじみ出るパワフルさが格好いい。この方の役作りは緻密で骨太だと思います。「妹じゃない」と協力者のルナールに返すとまどいが好き(ここはメアリーお二人全然ニュアンスが違って面白いです。)。歌の迫力に負けない芝居心が劇場に満ちているみたいな。

全員でのアンコールのあと、観客三階まで総立ちになり、ベスとロビンで数回出て来てくださいました。

はける幕奥へ疲れたように引っ込んでいく演者さん、そりゃそうです。あれだけ役を生きられたらお疲れでしょう。

ベスが心を込めて託したイモーテルを、受けとったロビンは気持ちを汲んで想いを返して見せ、それに応えるように心に手をやり微笑んだベスの笑顔が綺麗で心に残ります。

心、がテーマなんだな、とあらためて思いました。
観てる間、ここを覚えとこう!というシーンが沢山あります。観た直後でさえ忘れてしまう。けれど、また観たり、普段の何気ない瞬間に思い出したりします。

舞台は形には残りません。同じ瞬間がないように。でも心はずっと覚えているのかもしれない。

カーテンコールで首切り役人の笠原さんがマスクを取られた時、
「男前やん」
と客席から聞こえました(同感です!)。笠原さんが、何故、でアン・ブーリンの歩みに併せて絶妙な間合いで剣を持ったまま進まれている姿は職人の域だなぁと観る度思います。

スタンディングにキョロキョロしてる涼風さんが可愛いかったです。大変な実力者で大ベテランでらっしゃるのにいつも新鮮に演じておられるのは本当にすごい。

トムの曲や、最初のアン・ブーリンの歌、道ゆく人?、などいい音楽ですし、それに台詞だけのシーンもとても良いので、完全版のライブCDとか出ないかなあ・・・と願っています。

レディ・ベス(博多座 2014.9.6 昼の部)_a0252029_21183828.jpg


※抹茶クロワッサン、美味しかったです。(クロカントは次の楽しみに取っておこう)。



by rainbow-sunny88 | 2014-09-07 21:34 | ウィーン wien
ウィーン旅目指してのんびりダイエットブログでしたが、2021年、ダイエットを始めたきっかけの持病が再発!?・・・悩みました。とりあえずやるしかない!と少しでも健康に近づく体づくりのため、できること=栄養指導を守る→平日ランチは手弁当だ!と作り置きの野菜おかずを拵えている日々。ミュージカルへの情熱位向けられるのか?コメントは承認制です。
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